2014-09-19から1日間の記事一覧

狐のまつり 後篇「空狐の消えた日」

前篇「初めの日」より あれからどれほどの月日が経ったのでしょう。 人の姿をした狐は、自分がどれくらいの間生きているかなど、とうに忘れてしまいました。 ただ、本当にたくさんの人間が、男も、女も、老いも、若きも、 狐のところにやってきては「願いを…

狐のまつり 前篇「初めの日」

一弥(いちや)は、足に怪我をした小さな狐を見つけました。 一弥は狐を古い祠に隠し、 毎日の奉公が終わってから世話をしに行っていました。 狐の怪我もすっかり治ったある日のこと。 一弥が狐に飯をやり、体を撫でてやると、狐はひとのことばを語りました。 …